2018年3月13日火曜日

サクラダリセット 前篇・後篇 2017 日本

監督:深川栄洋
出演:野村周平 黒島結菜 平祐奈 及川光博

小説は未読だが、アニメは鑑賞済み。
アニメを観た限りでは、とても独特な世界観の作品であるし、
セリフも多く、SF的というより哲学的な、
詩的な会話劇であるとも言えるので、
実写映像化するのに向いている作品とはあまり思えなかった。





それは、SF的な部分のロジックが少し難解である、
という部分ではなく、この作品は、とてもライトノベル的な、
あるいは、とてもアニメ的な、そういう映像表現やセリフの言い回し、
キャラクター造形、によって成立しているので、
それを実写で表現しようとするのは、かなり難しいと思う。

特に、資金も時間も少ない状況で作るのであれば、
監督にも役者にも、それなりに高いセンスが必要となってくると思う。
ストーリー、脚本については、上手く構築されていたと思うが、
やはり、映像表現とキャラクター造形については、
もう少し頑張らないと、という感じが否めなかった。

例えば、野村周平が演じた浅井ケイは、
暗い、いつも難しい表情をしている、という感じだったのだが、
アニメの浅井ケイの感じは、そういう感じではなく、
常に冷静で余裕が有り、常に涼しい顔をしていて、
天才的に頭が良いキャラクターであったと思う。

また、黒島結菜が演じた春埼美空は、髪型はともかく、
だんだんとそうではなくなっていくのだが、
もっと常に無感情で無表情な感じであり、
特に、セーブする場面、リセットする場面の表情というのが、
微笑んでいる、嬉しそうな感じに見えるのが気になった。

そして、及川光博が演じた浦地正宗についても、
あれほどチャラけた感じのキャラではなかったと思うし、
それから、索引さんにしても岡絵里にしても宇川紗々音にしても、
アニメのキャラクター造形とは遠いような印象で、
そこはやはり気になるところだった。

もちろん、モノマネを観たいわけではないので、
特にキャラクター造形については、
どれだけ似ているのか、という事が重要なわけではないのだが、
前述したように、この作品は、そこが重要な要素の1つであるから、
そこが違うと、魅力が失われる可能性が高くなるかなと。

例えば、平祐奈が演じた相麻菫については、
見た目としては全く違うのだが、
セリフの言い回しなどはよく再現されていたと思うし、
雰囲気はしっかりとつかんでいたので、
やはり、そこの部分は重要だったのではないかと思う。

そして、ストーリーについては、上手く構築されていた、
とは前述したのだが、そもそもとして、この作品は、
かなりチート的というか、ご都合主義な能力が全体的に多く、
そういうものに強い抵抗感がある人には向かないし、
当然、SF的なロジックが苦手な人には楽しめない。

但し、そうだとしても、1つ残念に思ったのは、
この作品というのは、春埼美空と相麻菫と浅井ケイの三角関係、
特に春埼美空と相麻菫の静かだが熱い、
そして、切ないバトル関係というのが1つの大きな軸だと思うのだが、
そこの部分の描き方は不十分だったかなと。

おそらく、そこの部分の描きが足りなかったから、
淡々と筋を追うだけのストーリーに感じられてしまうところもあったし、
春埼美空と相麻菫の魅力、
特に相麻菫の魅力というのは半減されてしまっていて、
そうなってしまうと、この作品の魅力も半減になってしまっていたかなと。

最後に、映像表現や演出という部分についても、
「ハルキ、リセットだ」、というセリフ、あるいは、
そのセリフを言うシーンというのは、
このサクラダリセットという作品の最も重要な部分であるにも関わらず、
そこの映像表現や演出が弱かったように思う。

そこに至るまで、まずは状況の説明があって、
そこから、浅井ケイが解決や反撃へ転じる時に、
その切り替わりのスイッチとなるのが、
「ハルキ、リセットだ」、というセリフでありシーンであり、
そこでの盛り上げ演出が薄かったように思う。

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